金利で明暗! 銀行絶望格差#8Photo by Yasuo Katatae

2023年、近畿2強の京都銀行と滋賀銀行で新頭取が誕生し、奈良県の南都銀行も禅譲は秒読み。特集『金利で明暗! 銀行絶望格差』(全16回)の#8では、世代交代が進む中で、にわかにささやかれ始めたのが再編第2幕を読み解く。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

近畿の地銀で相次ぐ世代交代
再編第2幕のシナリオとは

「近畿は既に片付いている」。そう話すのは同地の大手地方銀行の首脳。再編真っただ中にある名古屋の状況を念頭に、余裕の表情を見せる。

 実際、近畿の地銀再編機運は下火となっている。2017年3月に大阪府を地盤とする近畿大阪銀行と関西アーバン銀行が合併して関西みらい銀行が誕生し、兵庫県のみなと銀行がりそなグループ入りして以降、目立った動きは見られない。

 20年9月に首相に就任した菅義偉氏が「地銀の数が多過ぎる」「再編も一つの選択肢」と発言して圧力をかけた当時も、近畿の地銀はどこ吹く風。大阪と兵庫には各2行あったものの、京都府・奈良県・和歌山県・滋賀県では既に各1行に集約されていたからだ。

 だが、そんな近畿でも、24年には再編機運が高まりそうだ。というのも、近畿の地銀各行では23年から頭取の世代交代が相次いでおり、その流れは24年も続くとみられているのだ。

 地銀再編は「頭取の意向で全てが決まる」(大手地銀OB)ともいわれ、頭取の顔触れは再編を読み解く上で最も重要な要素だ。次ページでは、近畿で注目の新頭取人事を読み解きながら、地銀界でささやかれる再編第2幕のシナリオを解説する。