奈良県の第一地方銀行である南都銀行には、周辺地銀から熱い視線が注がれている。就任から8年が経過した橋本隆史頭取の交代が近づいていること、さらに大阪府への進出を強化していることがその理由だ。事業環境の見通しと共に、橋本頭取に話を聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
金利上昇局面でも軸はぶれず
本業の預貸金ビジネスを強化
――2024年度前半にはマイナス金利解除が予想されており、本格的に金利上昇局面が訪れそうです。今の状況をどう捉えていますか。
予想されているように、日本銀行はマイナス金利政策をどこかのタイミングで見直し、もしかしたらゼロ金利になるかもしれません。ただしそれが融資や預金にどのように影響を与えていくか、正直まだ見通せません。
もちろん金融政策が変更されて金利が上昇する、あるいは今の状況が続くことなどを想定してはいます。しかし金利の上昇は中小企業や個人に大きく影響します。従って、そんなに急激に金利が上昇することはないのではないでしょうか。
われわれとしては本業である預貸金ビジネスなど、金融サービスをしっかりと提供していきます。
――利ざやは拡大していくのでしょうか。
奈良県の第一地方銀行である南都銀行は、隣の大阪府でのシェア拡大をここ数年積極的に進めてきた。一方で、今後30年間で発生する相続による金融資産の流出が47都道府県の中で最も多いという試算も出ている。(本特集#7『大相続時代に地銀が直面する「預金流出」の衝撃!今後30年で家計資産が流出する県とは?』参照)橋本頭取は、足元の課題についてどのような一手を打つのか。他行とのアライアンスの可能性や金融資産流出の阻止について、次ページでその考えを聞いた。