2002年に設立後、いち早く地方の税理士事務所へ提携・買収を仕掛け、税理士業界最大手に上り詰めた辻・本郷 税理士法人。業界に先駆けて新たな取り組みをする同法人が、次の収益の柱になるとみる“鉱脈”とは何か。感度の高い街の税理士もその鉱脈に気付き始めている。特集『激変!3大士業の仕事&稼ぎ方』(全12回)の#4では、その鉱脈について明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
税理士受験者数は14%増!
復活した“中小企業の味方”
税理士は、中小企業の日々の資金の流れを記録する記帳代行業務や月次決算書の作成、税務申告など、「人・もの・金」のうち金に関する専門家として経営者を支えてきた。中小企業経営者にとって最も身近な士業といわれるゆえんだ。
だが、その存在の大きさとは裏腹に、この10年余りの間、人気低迷と高齢化に悩んできた。税理士試験の受験者数は、2020年まで毎年のように6~10%減が続き、14年に日本税理士会連合会が実施した調査で60歳を超えていた税理士の平均年齢は、さらに上昇圧力がかかっていた。
他にも14年には英オックスフォード大学が公表した論文「雇用の未来」で、AI(人工知能)などの最新テクノロジーの発展により「税務申告書代行者」は10年後に消える職業だとやり玉に挙げられた。
ところが、である。新型コロナウイルス感染症のまん延が、停滞していた税理士業界の空気を一変させた。ステイホームを余儀なくされた学生などの若年層の資格取得熱が高まり、税理士に関心が向いたのだ。
21年に受験者数は底を打ち、前年比プラスに反転。23年は力強く伸長し同14%増となった。これは弁護士と会計士、税理士に司法書士、弁理士、行政書士、社会保険労務士、中小企業診断士を加えた8大士業で比較しても、受験者数の前年比上昇率は弁護士の27%増に次ぐ2番目の上昇率だった。
その結果、23年度の試験合格者数は20代が急増。これまで税理士会が抱えていた課題が、一気に解決へと向かっている。
もっとも、デジタル化や最新テクノロジーを活用した新サービスの登場で、税理士の仕事が徐々に奪われつつある厳しい事業環境は変わっていない。
では、税理士はどのような仕事で稼げばいいのか。次ページで一部の税理士が目を付け始めた、新たな“鉱脈”を明らかにする。