北海道大で強まる民間志向
筑波大は地元、公務員が人気

 各大学の23年のランキングトップ5を見てみよう。

 北海道大は、北海道大、北海道大病院、札幌市、アクセンチュア、ニトリの順だった。前年8位だったアクセンチュアが4位に、前年10位だったニトリが5位に上昇し、民間企業への就職志向が高まっている傾向が見られる。

 アクセンチュアは06年に、初のロケーションを問わないワークスタイルを目指した「アクセンチュア・イノベーションセンター北海道(AIH)」を開設した。また、ニトリは北海道が創業の地で、もともと人気があった。最近では、北海道大、札幌市、北海道と連携してデジタル人材を育成している。これらの取り組みが浸透してきたことが、両社の人気の一因と考えられる。

 東北大は、東北大、東北大病院、日立製作所、富士通、宮城県庁の順だった。特筆すべきは、前年はランキング外だった野村総合研究所と東京エレクトロンが、それぞれ6位と11位に上昇したことだ。

 野村総研は22年、東北大と量子コンピューターの産業応用を目的とした共同研究を開始した。一方、東京エレクトロンは、デジタル技術の活用による未来社会のデザインについて東北大と協力し、関係を深めている。

 筑波大は、筑波大附属病院、筑波大、ヤフー、NEC、日立製作所の順だった。特徴的なのは、筑波大附属病院が前年のランキング外から1位に急浮上したことだ。以前は日立製作所日立総合病院や東京大学医学部附属病院など他の地域の病院に就職する傾向があったが、地元志向が強まっていることが分かる。また、茨城県庁や東京都庁、国土交通省などの公務員も人気がある。

 名古屋大は、トヨタ自動車、デンソー、日本ガイシ、中部電力パワーグリッド、ブラザー工業の順だった。名古屋本社やトヨタ自動車関連の企業への就職者が多いのが特徴だ。

 さらに、三菱電機、三菱UFJ銀行、三菱重工業など三菱系の企業も多く見られる。三菱UFJ銀行の前身の一つが東海銀行であり、三菱重工業には名古屋航空宇宙システム製作所があるなど、昔から名古屋との縁が深いことが影響しているとみられる。

*この記事は、株式会社大学通信の提供データを基に作成しています。

【ランキング表の見方】
2023年春の大学別の主な就職先。就職先名称は原則としてアンケート調査時点の各大学の回答による。大学通信の調査方法によって表記しているため、正式名称と異なる場合がある。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。東京大学は「東京大学新聞」から集計、大学院修了者を含む。(調査/大学通信)