まるで株主が企業をコントロールすることを諦めた、漫画の中の市場資本主義を見ている気分になることがある。資金ははやりに乗って株式に殺到し、過去のパターンに基づくアルゴリズムによって移動し、手数料が実質無料となる無数のパッシブ運用型インデックスファンドに流れていく。官僚的な企業体質を抑止するためにリソースを割くインセンティブは皆無だ。デイトレーダーやヘッジファンドは次の経営会議までにいなくなるし、パッシブ運用ファンドは最高経営責任者(CEO)が刑務所に入れられても株を手放せない。現実は漫画ほどひどくはない。買った銘柄を保有し続けるストックピッカー(銘柄選別者)はまだいて、誰が経営しているのかを大いに気にしている。だが、世界最大の株式投資家が、自らの投資戦略の柱であるパッシブ運用が市場を損なうリスクを懸念するほどひどい状況だ。この投資家が口を出す機会が増えたのはこのためだ。