コーヒー代はムダだから徹底的に排除すべき?→出口治明が反論する理由写真はイメージです Photo:PIXTA

世間で言われる「よくないお金の使い方」は本当に自分に当てはまるのか?大切なのは自分の価値観で後悔なくお金を使うことなのだ。大事な「お金の使い方」について、ライフネット生命の創業者である著者が働く若者からの質問に答える。本稿は、出口治明『働く君に伝えたい「お金」の教養』(ポプラ社)の一部を抜粋・編集したものです。

世間で言われる「よくない使い方」は
本当に自分に当てはまる?

――普段つましく生活している女性がコツコツ貯金して100万円のブランドバッグを買うのも、毎日300円のちょっと贅沢な缶ビールを買って飲むのも、自分のルールさえ定まっていたら問題ないのですか?どちらも、「よくない使い方」として紹介されがちですが。

(以下、出口) 自分で稼いだお金なのですから、どのように使おうと自由です。結婚していれば、パートナーに文句を言われるかもしれませんが、基本的にお金はもっとも自分の満足度が高くなるよう、自由に使うものだと思います。

「ラテ・マネー」という言葉を知っていますか?

「毎日使うちょっとしたお金は、1回ずつの出費は少なくても積み重なると大きな額になる」という意味で使われる言葉です。習慣で買ってしまうコーヒー代がその代表格として挙げられるために、このように呼ばれています。このラテ・マネー、お金について書かれた本や記事を読んでみると、まるで害虫であるかのように徹底的に排除すべき存在として扱われているようです。

 もちろん、とにかくお金を貯めたい人、給料日前にいつもあっぷあっぷしている人は、ラテ・マネーを削ることを検討すべきでしょう。でも、コーヒーが心から好きで、一日の活力や癒やしになる人もいる。そういう人にとっては、ラテ・マネーは人生に必要な使うべきお金と言えませんか?

 みなさんにとっては、「これは使うべき、これは節約すべき」と教えてもらったほうがラクかもしれません。僕も、正解があるならお伝えしたい。しかし、すべての人にとって「善」「悪」の使い方などないのです。

 大切なのは、世間が「いい使い方だ」と思うことではなく、自分の価値観を知り、どのように使えば自分はハッピーになれるのかを知ること。

 自分の好みを知らずして、限られた収入のなかで最高の消費はできないのです。