手元の100万円、まず何に投資すべき?→若者へのアドバイスが納得感しかない写真はイメージです Photo:PIXTA

知識不足や不安感から保険を多めにかけたり投資に手を出せない人は多い。しかしリスクを抑えながら賢くやれば、ムダな出費をなくしてお金を増やすことも可能なのだ。ライフネット生命の創業者である著者が働く若者からの質問に答える。本稿は、出口治明『働く君に伝えたい「お金」の教養』(ポプラ社)の一部を抜粋・編集したものです。

保険のプロがすすめる
「就業不能保険」

――実際の保険選びについて聞いていきたいのですが、具体的に僕たちはどんな保険に入れば安心できるのでしょう?

(以下、出口) ここはずばり、お答えします。みなさんに僕がオススメする保険は、「就業不能保険」。つまり、「働けなくなったときに生活費を保障してくれる保険」。これがいちばん大切です。

「就業不能保険」は、病気やケガで働けなくなったとき、月々もらっていた給与のように給付金を受けとることができる保険です。蛇口が壊れたときのスペアを用意しておくようなイメージですね。

 みなさんが抱えているいちばん大きなリスクは、働けなくなって、蛇口から出てくる水が止まること。収入が途絶えてしまうことです。毎月の給与さえ入ってくれば生きていけます。

 ところが、大きな事故や病気で、数年にわたってまったく働けない状況になったらどうでしょう。職場も辞めなければならず、毎月の給与もゼロ。セーフティネットの貯蓄も手取り1年分しかないわけですから、それ以降の生活ができなくなってしまいます。

 貯蓄だけではどうにもならないときの備えとして、就業不能保険が必要です。

 就業不能保険は、まったく働けない状態が一定期間続いたとき、体が完治するまで毎月お金が支払われます。病気やケガによっては、10年、20年と働けないこともあります。そんな状況でも、この保険を買ってあれば月々の「フロー」、蛇口の水が途絶えることはありません。長期の就業不能保険であれば、完治するまで蛇口から水が出続けるのです。

 新社会人になったらこの保険を買うのは、アメリカやドイツでは常識だと言われています。しかし、日本では「死亡保険」や「医療保険」をメインにした高額な保険ばかりを勧めているのです。消費者の傾向としても、いざ生命保険を比較検討しはじめると「こんなことがあるかも」「あんなことがあるかも」と将来が心配になり、あれもこれもと保障をつけがちです。