2つのアンケート結果の乖離に
隠された国民の願いとは
Yahoo!ニュースのアンケート「日銀のマイナス金利解除、どう評価しますか?」を見ると、投票18,400人中、以下のような結果になっている(3月22日0時時点)
大いに評価する……37.5%
ある程度評価する…17.6%
あまり評価しない…11.6%
全く評価しない……29.4%
どちらとも言えない/わからない……4%
「評価する」の合計が55.1%、「評価しない」の合計が41%である。
興味深いのは、同サイトでほぼ同時に並行して行われている「景気の動向をどう感じていますか?」というアンケート(84,280人投票中)である。こちらは、以下のようになった。
良くなっている………………………2.4%
どちらかというと良くなっている…4.2%
どちらかというと悪くなっている…21%
悪くなっている………………………69.4%
どちらとも言えない/わからない……3%
「良くなっている」は合計でわずか6.6%であり、「実質賃金22カ月連続マイナス」を多くの人が身にしみて感じていることが伝わってくる。一方、日銀のマイナス金利解除は春闘の賃上げや「2%の物価安定目標が達成できそうな見通し」が根拠であり、つまり景気の上向き観測を織り込んだ決定となっている。
日銀は「景気は上向いてきた・上向くだろう」と考え、一方多くの人は反対に「景気は悪くなっている」と考えている。しかし日銀の「景気は上向いてきた・上向くだろう」という考えに基づいた采配は、多くの人に指示されているのである。両者の見ているポイントに大幅な乖離が生まれているが、それでもマイナス金利解除が多数に評価されているのは、「停滞した現状を打破するカンフル剤的な何かがほしい」という、国民のすがるような願いの表れなのかもしれない。
不動産関係者は、「マイナス金利解除を歓迎するわけではないが、このまま経済が停滞すれば家を買う人が本当に減ってしまうから、何かしらの変化はほしかった」と話していた。この談話ともリンクするアンケート結果である。