「チリがホコリになっただけ」マイナス金利解除の不安を冷めた目で眺める人たちの心理マイナス金利解除で17年ぶりの利上げ。世間の反応はどうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

日銀が、マイナス金利の解除を決定したことが大きな話題となっている。メディアではそれなりに取り上げられているものの、いまいち反応がわかりづらい市井の声を聞いてみたい。(フリーライター 武藤弘樹)

「他人事ではなくなった」
マイナス金利解除に湧く列島

 日本銀行がマイナス金利を解除して17年ぶりに利上げが行われた。金融緩和策の柱だったマイナス金利だが、当面の方針としては以前緩和路線を続ける見通しだ。

 では、なぜここにきてマイナス金利解除に至ったのかといえば、「2%の物価安定目標が達成できそうな見通しになったから」がその主な理由である。

 これが報じられた当初は、新聞やテレビなどのメディアからはおおむね評価されていた印象で、「長らく異例が続いた金融政策の正常化がようやく図られた」と言われていた。しかし2日ほど経った今は、テレビ出演やネット記事掲載など、依頼から出演・掲載までタイムラグがある意見発表の場に、真逆の評価を下す知識人たちが現れて、「このタイミングでマイナス金利解除は愚の骨頂」と厳しくやっている。

 このように、世論は賛否入り乱れている最中である。

 この日銀の舵取りが景気にこれからどう影響していくかは全国民にとって他人事でなく、またマイナス金利解除後にすぐさま影響を受けそうな住宅ローンの金利は、住宅ローンに関わったことのある人たち、住宅ローンを検討したことのある人たちにとって、「他人事でない」どころか、もはや当事者である。すなわち、大いなる関心が寄せられている。

 このニュースに接する人たちの姿勢に特徴的に見られるのは、「賛か否か、おおかたどちらかに寄る」という傾向である。しかしそんな中にあっても「別に騒ぐことほどのでもない」「生活の手応えが急に変わることもないだろう」と静かな人たちはいる。

 そうした比較的珍しい意見を含む、街の声を本稿で紹介していく。なお、あくまで「街の声」であり、専門家の知見ではない点をご了承願いたい。しかし、「街の声」だからこそ見えてくる部分もあるので、興味深く読み進めていただければ幸いである。