高級住宅や高級車、高額なゴルフ会員権……
スキーブームでゲレンデは激混み
バブル景気は1985年の「プラザ合意」後の円高により日銀が徹底した低金利政策を取った結果空前の「カネ余り」が起きたことが始まりでした。それらの余剰資金が株式市場になだれ込み、資産価格の上昇が始まり、日経平均株価は1989年12月29日に、3万8915円の史上最高値を付けました。
世の中の余った資金の多くは不動産市場に向かい、異常なまでの地価高騰が起き、いつの間にか「地価は必ず上がる、上がり続ける」という土地神話が生まれ、皆こぞって不動産を買うようになったのです。地価上昇はしだいに投機目的の、ギャンブルにも似た短期的な売買が増えて、世の中の景気はまさに泡(バブル)のように膨らんでいきました。
高級住宅や高級車、高額のゴルフ会員権が飛ぶように売れ、さまざまな豪華なテーマパークが日本各地に開業し、空前のスキーブームでゲレンデは毎週末がイモ洗い状態。クリスマスには、大学生カップルでさえも赤坂の高級ホテルでデートし、ティファニーなどの高級ブランドのアクセサリーがプレゼントとして飛ぶように売れました。
成長し続ける多くの企業では昼夜を分けず猛烈に働くことが時代の趨勢となり、「24時間戦えますか?」のキャッチコピー(栄養ドリンク「リゲイン」のCM曲「勇気のしるし」)が大流行しました。「ふてほど」では、まさにこの時代背景の中で、今ではコンプラ違反とされる残業強要の過重労働問題やセクハラ、パワハラなどをテーマに現代の価値観に疑問を呈していました。
1986(昭和61)年に施行された男女雇用機会均等法により女性総合職が登場したのもこの時代です。
また、多くの企業では接待交際費も大盤振る舞いで、高級レストランはどこも連日満席で接待の帰りはタクシーチケットをクライアントに渡して家まで送迎するのが常でした。
そして、このように余ったバブルな資金は国内のみならずジャパンマネーとして世界を席巻し、好景気によって潤沢な資金を得た日本企業が、多くの海外企業や不動産を買収した時代でもあります。三菱地所によるロックフェラー・センターを所有するロックフェラーグループ(RGI)の買収や、ソニーによるコロンビア映画買収などをはじめとするさまざまな海外投資・買収が行われました。