令和時代の私たちは、何で幸せを感じるか

 これまでの社会では主に「経済成長」に価値の重点が置かれ、GDPなどの指標を追求することが中心となって、経済合理性がないものは重要視されませんでした。その結果、貧困と飢餓の問題が深刻化し、地球環境の悪化や拡大し続ける格差など、経済合理性にフォーカスをしていては解決できない課題が無視できないレベルとなっています。

 ウェルビーイングが世界的に注目されたきっかけといわれている、2021年に開催予定だった世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のテーマは「グレート・リセット」でした。

 創設者であるクラウス・シュワブ会長は「世界の社会経済システムを考え直さねばならない。第2次世界大戦後から続くシステムは環境破壊を引き起こし、持続性に乏しく、もはや時代遅れだ。人々の幸福を中心とした経済に考え直すべきだ」と述べました。

 この「グレート・リセット」では、「人間らしさの見直し、心身の健康(ウェルビーイング)」について、高い優先順位が設定されることとなりました。

 ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンがアメリカ人を対象に実施した、「幸福と金の関係の大規模な調査」によると日々の幸福感に関して言えば、年間所得が7万5000ドル(約1100万円)を超えると、所得がそれ以上増えても幸福感は高まらないということです。

 このような研究からも経済成長が必ずしも人々の幸福と直接リンクしないという傾向が明らかになってきています。そんな中でドーパミンにあふれたバブル時代と違い、未来が不透明な将来への希望を持ちづらい令和の時代の新しい幸せの在り方が問われています。

 この時代は成功のホルモンであるドーパミンよりも、むしろつながりや愛情に関わるオキシトシン的幸福が求められているのかもしれません。

 昭和と令和を行き来する人々のつながりを描いたドラマ「不適切にもほどがある!」は友人や家族との絆が大きなテーマとなっています。時代を超えて不変であるテーマを描いたこのドラマは、今の時代の幸せとは何かを、改めて視聴者の多くに考えるきっかけを与えてくれたのではないかと思うのです。

(インテグレート代表取締役CEO 藤田康人)