わが子に最強の中高一貫校&塾&小学校 2025年入試対応#22Photo by Hiroaki Miyahara

私立中高一貫校のボリュームゾーンで人気上昇中の中堅校から、子どもに合う学校を選ぶのは至難の業だ。特集『わが子に最強の中高一貫校&塾&小学校』(全46回)の#22では、中学受験の取材と情報分析をしてきた、日能研の井上修氏に、注目の中堅校と選び方を聞いた。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

2024年入試を特徴づけた
私立中高一貫校の中堅校人気

――2024年の首都圏の中学入試総括からお願いします。

 受験率は過去最高を更新した一方、受験者数は昨年から900人減の6万5600人と推計しています。この要因として、今年は公立中高一貫校の受験者が総じて減少したことが挙げられます。その意味では、私学(私立中高一貫校)熱は、昨年並みか、より高まったとみています。

 そして、その私学の中でも特に人気が高まっているのが中堅校です。24年入試において、難関校ではとりわけ男子で受験者を減らしている学校が目立つ一方で、中堅校の方は受験者を増やした学校が多く、私学人気に奥行きと広がりが出ていると感じています。

――どのような特徴のある中堅校が人気を集めているのでしょうか?

 まず学校の個性という点では、難関校の方にエッジが立っている学校が多いですが、中堅校は基本的に一人一人の子どもの個性に合わせる幅の広さが特徴で、それが現在の中堅校人気の理由の一つになっています。

 加えて人気を集めている学校は、子どもの感性を伸ばす改革の「動き」を対外的にうまく発信できています。「われわれはこんな改革をしています。保護者の方も一緒に学校を良くしましょう!」というプレゼンができている学校は人気が高い。

井上修井上修(いのうえ・おさむ)/日能研入試情報室室長。1967年生まれ。横浜国立大学教育学部卒業後、日能研入社。中学受験雑誌「進学レーダー」編集長を経て現職。Photo by H.M.

 また、子どもが6年間通うことを考えると施設の充実度も人気を集めるポイントになります。具体的にいうと、今のトレンドはラーニングコモンズ(生徒の主体的な学修を支援する空間のこと)です。もう一つは高大連携の充実です。従来の「大学訪問」や「出前授業」のみならず、近年は大学と共に行う「探究活動」が主流になりつつあります。

――首都圏で注目する中堅校を教えてください。

次ページでは、子どもの中高6年間の幸せから見た、お薦めの中堅校の具体的な学校名と、その理由を掲載する。