環境保護が世界的な課題になる前に、中国の指導者、鄧小平は「発展こそ根本的道理だ」と説いた。鄧氏は環境の悪化を、中国の経済成長に向けた取り組みにおける「必要悪」と見なしていた。結果として、中国は今では二酸化炭素(CO2)排出、土地や水の汚染、天然資源の枯渇において世界のトップを走っている。中国の現在の指導者である習近平国家主席は、将来のネットゼロ(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現のために自らが「生態文明思想」と呼ぶものを構築すると約束している。この主張を評価し直すべき時が来ている。とりわけイエレン米財務長官が訪中し、アースデー(地球の日、4月22日)が近づいている今は、そう言える。中国共産党はグローバルコモンズ(地球規模で人類が共有している資産。大気、森林などの地球環境や生態系、特定の国の管轄権が及ばない公海、宇宙、サイバー空間など)の管理に真剣に取り組んでおらず、西側諸国の指導者たちはこうした危険なほど誤解を招く恐れのあるストーリーに異議を唱えなければならない。