これらの結果を見ると、若者世代が従来のような「情熱的な上司」よりも、「寛容な上司」を求めていることがわかります。
全体的な傾向として高まっているのが「丁寧な指導」「成長や力量に対する定期的なフィードバック」へのニーズです。つまり、若手社員が上司や先輩に対して求めているのは、「手厚い個別対応」なのです。
「指示が曖昧なまま作業を進めること」に対しては8割の若手社員が抵抗を感じており、「質問のしやすい風土や対応」も上位に挙がっています。
日本企業の慣習としておこなわれがちだった「ちゃんとして」「きっちりやれ」「しっかり仕上げて」といった曖昧な指示をする上司は、嫌われるのです。
同時期の別会社の調査においても、同様の結果が出ています。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「新入社員意識調査2022」によると、「上司に期待すること」として「相手の意見や考え方に耳を傾けること」「職場の人間関係に気を配ること」が過去最高の選択率となっています。
価値観の多様化が謳われる社会において、一方的に伝えるだけではなく、部下の意見もきちんと聞く……といった、個性や違いに受容的で、傾聴型のコミュニケーションを望む傾向を生み出していると推測できます。
先輩世代は「新入社員」の
イメージをリセットせよ
新入社員に対する接し方やイメージは、上の年代であればあるほどリセットする必要があります。なぜなら、ここまで見てきたように、世代間における「仕事」や「上司」「会社」に対するイメージは大きく変わってきているからです。
余談ですが、かつて公益財団法人日本生産性本部が毎年「今年の新入社員の特徴とタイプ」を発表していました。私が新入社員だった1999年度当時の特徴とタイプは、「形態安定シャツ型」でした。
その心は「防縮性、耐摩耗性の生地(新人)多く、ソフト仕上げで、丸洗い(厳しい研修・指導)OK。但し型崩れ防止アイロン(注意・指示)必要」とのこと。「厳しい指導OK」というコメントは、今となっては隔世の感があります。
なお、同本部による「新入社員の特徴とタイプ」発表は2017年度で終了してしまいましたが、現在は、産労総合研究所が引き継いで実施しており、2023年度の新入社員のタイプは「可能性は∞(無限大)AIチャットボットタイプ」だそうです。
「知らないことがあればその場でごく自然に検索を始めるデジタルネイティブ世代である彼らは、さまざまなツールを扱い答えを導き出すことにかけては、すでに高いスキルを持っている」