カタリーナ 「同時に2カ所以上の事業所で働く場合、それぞれの会社で社会保険の加入要件に該当すれば、それぞれの会社で加入する決まりがあるのよ」

平居 「そんな、ダブルで加入するなんて聞いたことありませんよ」

カタリーナ 「ずっと前からあった仕組みだけれど、知られていないのよね。そもそも、堂々と副業ができるようになったのも、ここ数年の話だし。例えば、こんな働き方をする場合は要注意ね」

 そう言うと、カタリーナはホワイドボードに書き出した。

【A社とB社両方で社会保険の加入が考えられる例】
□A社およびB社で法人の代表者
□A社で正社員、かつB社で法人の代表者
□A社およびB社で正社員
□A社およびB社で短時間労働者として働き加入要件に該当する人 など
※ 加入要件は企業規模によって異なる

平居 「同時に社会保険に加入すると、社会保険料はどうなるんですか?」

カタリーナ

カタリーナ 「それぞれの会社で受ける報酬月額を合算した月額により『標準報酬月額』が決まり、それぞれの会社で受ける報酬月額に基づき案分して計算されるの。例えば、A社で40万円、B社で25万円の場合、合算した65万円の標準報酬月額に対してそれぞれ案分して健康保険料と厚生年金保険料が計算されるってわけ」

平居 「難しいなぁ。じゃあ、保険証も2枚になるんですか?」

カタリーナ 「いいえ。まず、本人が主たる事業所を選択して届出をするの。選択した事業所を管轄する保険者から、新たに保険証が発行されるのよ」

平居 「へぇ、そうなんですか」

カタリーナ 「で、ここからがポイント。それぞれの報酬を合算して決定された標準報酬月額と保険料額は、選択した事業所を管轄する年金事務所等から、それぞれの事業所へ通知が届くの。つまり、両方の会社でいくらもらっているかは、本人が手続きをしても分かってしまうのよ」

平居 「えぇ!本当ですか?それは困ったな……」