しかし、指示命令型リーダーシップの場合、言われたことと違うことをやって怒られるくらいなら動かないほうがいいと、部下が指示待ちになってしまいます。また、いちいち上司にお伺いを立てないといけないため、何かあった時に対応が後手に回り、他社に後れを取ってしまうこともあるでしょう。

 何より、リーダー自身がすべての業務においてタッチしていなくてはならないと考えるため、仕事を抱えすぎてしまい、疲弊してパフォーマンスが低下してしまう弊害もありました。

「共感」で人を動かす新しいリーダーシップ

 そこで生まれたのが、「共感型リーダーシップ」です。共感型リーダーシップの代表的なものが、部下を主役とし、リーダーが補佐に回る「サーバントリーダーシップ」(支援型リーダーシップ)という考え方です。

 サーバントリーダーシップに必要な要素は、次の8つがあります。

1 傾聴力……部下の声に耳を傾ける
2 フィードバック……仕事の指示や目標をわかりやすく伝える
3  心理的安全性……組織のなかでも、自分の考えや意見を安心して発言できるようにする
4 納得……服従させるのではなく、納得を促して仕事を進める
5 裏方役……部下が活躍できるよう裏方に回る
6 成長へのアシスト……個々の成長を促すようサポートする
7 チームの環境づくり……メンバーが成長できるコミュニティーをつくる
8 平常心……ミスやトラブルがあった時でも、感情的にならずに接する

 これを見て気づかれることはないでしょうか。

 そう、リーダーが直接的に何かをするというよりも、サポートしたり環境を整えたりと、間接的に働きかける要素が多いのです。

 これは簡単なようでいて、実は意外に難しい。

 例えば、部下が仕事で行き詰まった時、能力が高いリーダーほど具体的な指示を出したり、「こうすればうまくいく」と、すぐに解決策を教えたりしてしまいがちです。