また、指示命令を出さずに、陰で部下を支えているような状況だと、「自分の存在感を示せないと評価されないのではないか。何も仕事をしていないように見えるのではないか」と思ってしまうケースも少なくありません。

 しかし、そこで自分が主役になろうとすれば、「指示命令型リーダーシップ」に逆戻りです。

 つまり、「共感型リーダーシップ」を実践するためには、「自分でやらない勇気」「指示を出さない勇気」が必要なのです。

 ちなみに、この「共感型リーダーシップ」がうまくできている人の多くは、自分はほめられなくてもいいと考え、自己承認をする機会を上手につくっています。

「今週はAさんの受注のアシストができた」
「Bさんに仕事を効率よく進めるアドバイスができた」

 といった具合に、定期的に自分のよかった点をメモしたりしているのです。

 同時に、自分を補佐役にできるリーダーは、居場所も上手に確保しています。

 リーダーになると、時に「部下との間に距離があるな」と思うことが出てくるものです。特に同じ部署でプレイヤーからリーダーに昇格した方は、寂しい気持ちになることもあるでしょう。

 このような方は、ビジネス交流会、趣味のサークルなど、会社と家庭以外の“第三の場所”(サードプレイス)を持っているものです。今はSNSなどで交流できる場も探しやすくなりました。オンラインで参加できるコミュニティーも多くなっています。

 自己承認の機会と居場所の確保をすることで、メンバーや上司に対しての強い承認欲求は満たされるようになり、おのずと「自分が、自分が」といった指示命令型リーダーは卒業できるようになるでしょう。