米国の富裕層の間では、自国以外の海外資産を組み入れるグローバル投資の動きが、以前にも増して加速しているという。日本と海外の投資・経済を知り尽くした金融マン待望の初著書『個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法』(ダイヤモンド社)では、富裕層がやっている国際分散投資を、一般の個人投資家に向けてわかりやすく解説! 投資バランスは「保守:積極:超積極=5:3:2」、1銘柄の投資額は資産全体の4%以内で、資産全体の2割は現金買付余力に――など、「これならできそう」「続けられそう」と思えるグローバル投資の秘訣を明かした1冊だ。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、グローバル投資の極意をわかりやすく伝授する。
おすすめ銘柄トップ10
グローバル投資におすすめしたい銘柄トップ10を紹介したいと思います(グローバル投資でおよそ半分を占める米国株については、すでに多くの情報がメディアにあふれており、本書の主旨からも外れますので割愛します)。
トップ10銘柄のセクターはさまざまですが、いずれもこれからの世界の経済と社会でますます重要になる「2大テーマ」(社会的インフラ・格差社会)に関わっているという共通点があります。
おすすめ銘柄②
4大資源メジャーの雄!
マネジメントの先見性
銘柄名 リオ・ティント(RIO)
西オーストラリアのピルバラ地域にある16の鉱山のネットワーク、4つの港湾ターミナル、1700kmの鉄道ネットワークと関連インフラを含む鉄鉱石資産の統合ポートフォリオを運営。アルミニウム事業は、ボーキサイト鉱山での採掘、アルミナ精製所、アルミニウム製錬所の操業を行う。ボーキサイト鉱山は、オーストラリア、ブラジル、ギニアにある。銅事業は、銅、金、銀、モリブデン、そのほかの副産物の採掘と精製およびシマンドゥ鉄鉱石プロジェクトに参加し探鉱活動を行う。鉱物事業は、カナダの鉄鉱石会社とともに、ホウ酸塩、二酸化チタン原料などの製品を扱う。また、ダイヤモンドの採掘・選別・マーケティングも行う。
一般消費者に向けたビジネスを手がけていないので、この社名を初めて知った読者が大半ではないでしょうか。
ですが、グローバル投資の世界では、リオ・ティントは資源メジャーとして知らない人がいないくらいの超有名&優良銘柄なのです。
資源メジャーとは、鉄鉱石・ボーキサイト(アルミニウムの原料)・ウラン・金(ゴールド)などの貴金属・ダイヤモンドといった資源の採掘、精製・製品化などの権益を押さえている巨大企業のことです。
4大資源メジャー
の筆頭株
世界の4大資源メジャーといわれるのは、リオ・ティント、BHPグループ(オーストラリア[BHP])、アングロ・アメリカン(英国[AAL])、ヴァーレ(ブラジル[VALE])。なかでも規模が大きいのがリオ・ティントなのです。
日本では、総合商社が海外の鉱山の権益の一部を握っていますが、その権益の大本を管理しているのが資源メジャーです。
米国には、フリーポート・マクモラン(FCX)という企業があり、銅やモリブデンなどに強みを持っていますが、リオ・ティントなどに比べると見劣りします。
経済成長の恩恵を
受けやすい銘柄
ほかの資源メジャーと比べると、中国やインドの経済成長の恩恵を受けやすいのが利点です。
これらの国々の経済が今後も成長し、通信ネットワークが広がれば、銅の需要が伸びますし、鉄道を新たに敷設すると鉄鉱石、住宅が増えるとアルミニウムなどの需
要も伸びてきます。
こうした分野で、リオ・ティントは強みを持っているのです。
マネジメントの先見性が
ライバルに比べて際立つ
このほかにも、リオ・ティントは、鉱山の操業の自動化にいち早く取り組んだり、モンゴル国史上最大の経済事業とされるオユトルゴイ鉱山の開発を手がけたりするなど、マネジメントの先見性が際立っています。
資源の分野で対抗馬になるのは、BHPグループ。規模はこちらのほうが大きいのですが、ビジネスがオーストラリアに偏っているうえに、米国でのシェールガス事業、カナダでの炭酸カリウム(肥料)事業に進出して失敗するなど、マネジメントが必ずしもうまくいっていない印象があります。
配当利回りが高いのは、銅などの国際価格が上がっていることから、2019年以降特別配当を出し続けているためです。
※本稿は、『個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。