ムーニーPhoto by Kazuki Nagoya

ユニ・チャームで基幹システムの刷新に伴って生じた納品遅れで、システム刷新のプロジェクトを手掛けた主幹ベンダーが、デロイト トーマツ コンサルティングであることが分かった。乳幼児用紙おむつ「ムーニー」などで納品遅れが生じている。デロイトが手掛けるシステム刷新では、今年4月に食品大手、江崎グリコでも不具合が発生し、主力商品の出荷停止が続いている。長期連載『コンサル大解剖』内で配信している特集『デロイト内部崩壊』の第11回では、ユニ・チャームのプロジェクトの中身を明らかにするとともに、デロイトの案件で「炎上」が続く背景についても解説する。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)

ユニ・チャームで納期遅れ発生
主幹ベンダーはまたもデロイト

 品切れ中――。5月29日、東京都内のあるドラッグストアの紙おむつの陳列棚にはそんな小さな札が掲示されていた。品切れとなっていたのは、ユニ・チャームの主力である乳幼児用紙おむつ「ムーニー」の一部商品だ。

 原因は、基幹システム刷新に伴って生じた納期遅れによるものとみられる。ユニ・チャームによると、大型連休中の5月上旬に基幹システムを更新したが、その後、新たな基幹システムと物流システムのデータ連携に不具合が発生。連休明けの大量のデータ処理などが間に合わず納期遅れが生じているという。

 今回の納期遅れの影響が大きく出たのは、自治体の紙おむつの給付事業だ。ユニ・チャーム製の紙おむつの入荷遅れで、同社製品の受け付けを停止するなどの対応に迫られた。ユニ・チャーム上席執行役員の上田健次ESG本部長は「システム障害などは起きておらず、今月中にも納期遅れは解消できそうだ」と話す。今のところ在庫などもあるため大規模な品切れは起きておらず、自治体への給付事業も来月から再開できそうだという。ただ、月内に収束できるかどうかは不透明な面もある。

 同社は今回のシステム刷新のベンダーを具体的には明かしていない。ただ、ダイヤモンド編集部の取材で、主幹ベンダーがデロイト トーマツ コンサルティングであることが分かった。

 デロイトが手掛けるシステム刷新では、食品大手、江崎グリコで今年4月に不具合が発生し、「プッチンプリン」などの主力製品はいまだに出荷停止に陥っている(『【独自】プッチンプリン出荷停止の「主犯」はデロイト!グリコのシステム刷新で1年遅延の末に障害発生“ボロボロ案件”の実態』参照)。江崎グリコの大規模障害に比べると、ユニ・チャームの納期遅れは限定的とみられるが、そもそも基幹システムをつなぎ込んだ後に、数日にとどまらずに業務に影響が及ぶ事態はまれだ。

 次ページでは、ユニ・チャームのシステム刷新のプロジェクトの中身について明らかにする。また、デロイトの基幹システム刷新プロジェクトでは、江崎グリコやユニ・チャーム以外でもトラブルが相次いでいるもようだ。デロイトが手掛ける案件で「炎上」が続く背景についても解説する。