ADL日本代表の原田裕介氏Photo: ADL

老舗の戦略系コンサルファームとして知られるアーサー・ディ・リトル(ADL)。だが、実はここ数年で、同社のイメージである「理系・国立大修士卒」「研究技術開発」といった人材やプロジェクトのイメージが大きく変貌しているという。加えて、実は戦略系の中でも規模を急拡大しており、その人員は増加率だけでみればアクセンチュアに匹敵するほどだ。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、ADL日本代表の原田裕介氏への取材をもとに、同社のビジネスの変貌や足元の採用動向について解説する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

人員数は5年で約3倍に
戦略系の中でも際立つ成長率

「2017年に約60人だった人員数が22年には約180人となり、5年で約3倍の成長をしている。これは戦略系ファームとしては非常に高い成長率だ」

 そう語るのが、戦略系コンサルファームの一角であるアーサー・ディ・リトル(ADL)の日本代表を務める原田裕介マネージングパートナーだ。

 ADLは、1886年に米国・ボストンで設立された世界最古の経営コンサルファームであり、コンサルの中でも特に古い歴史を持つ。過去にはアポロ11号のプロジェクトを支援するなど、設立以来イノベーションの先駆者としてのポジションを確立し、製造業や技術・研究開発周りのコンサルに特に強みを持ってきた。

 現在は欧州に本社を構え、世界40都市に展開。グローバルで1500人、日本拠点で約240人と“少数精鋭”の陣容を誇る。

 しかし、その“少数”のイメージとは裏腹に、国内においてコンサル市場が大きく拡大する中で、実のところここ数年でその体制を大胆に強化しているのだ。ちょっとした“知られざる変化”といえるだろう。

 5年間で約3倍は年率にすると20%を超える驚異的な成長だ。母数は異なるものの、これは15年から21年までの6年で約3倍に急成長したアクセンチュアに匹敵する水準である。

 なぜ、ADLはここまで大きく組織を成長させることができたのか。その理由について、本稿では原田氏への取材をもとに、ADLの直近のビジネスの概況と併せて解説していく。

 加えて、実はいま、同社に根付いている「理系・国立大学修士卒」といった人材のイメージが大きく変貌しているという。人材やプロジェクトの内容において、ステレオタイプなイメージが過去のものになりつつあるのだ。同社は具体的にどんな人材をどのぐらい採用しているのか。その内容について次ページで解説しよう。