【寄稿】FRBの経済見通しに改善の余地Photo:Kent Nishimura/gettyimages

 米連邦準備制度理事会(FRB)は四半期ごとに、経済・政策金利見通しの概要である「経済予想サマリー(SEP)」を公表している。来週の連邦公開市場委員会(FOMC)の際に公表されるSEPは、インフレや経済情勢、金利についてのFRBの見解に関する情報を得るために精査されるだろう。FRBは最善の意図を持ってSEPを公表しているが、政策金利の適正水準に関する予測は外れることが多い。今のやり方である必要はない。FRBは、政策論議や伝達方法を改善するためにその手法を修正することが可能だ。

 SEPでは長年、インフレ率、経済成長率、失業率に関するFOMC参加者の予想を示してきた。この予想は、FRBの目標を達成すると参加者が考えているフェデラルファンド(FF)金利の水準に基づいている。1977年の完全雇用法を受けて、FRBは半期ごとのSEP公表を始め、その内容を議会に提出する金融政策報告書に盛り込むようになった。2008~2009年の金融危機の際、四半期ごとに改めた。

 2012年には、各FOMC 参加者が予測実現のために適切だと考えるFF金利の(向こう数年間の)各年末時点の推定値がSEPに加えられた。これは「ドット・プロット」として知られるようになった。FRBは慎重を期して、これらの予想が将来の金融政策を拘束するものではないと強調している。FOMC参加者は、ほぼ常にインフレ率が2%に向かって収束することを予想し、その目標へのコミットメントを確認している。そのため、ドット・プロットは、FRBの責務を達成するために金融政策がいかに実施され、インフレと雇用が望ましい範囲から逸脱した場合にFRBがいかに対応するかについての判断材料を提供するはずだ。残念ながら、SEPはそれほど有効なものではない。