熊本県内での交通系IC非対応化後の見通し 熊本県内での交通系IC非対応化後の見通し ※熊本市都市建設局の資料 拡大画像表示

SuicaのFelica規格はガラパゴス?
世界で「タッチ決済」導入の波

 さらに、クレジットカードを端末にかざすだけの「タッチ決済」と、現行の交通系ICの将来性も絡んでくる。タッチ決済はすでに英ロンドンやシンガポールなど海外で広く普及しており、熊本県でも、空港方面へのシャトルバスが先行してタッチ決済に対応している。中国や台湾ではおなじみの銀聯カードで、さっと決済を済ませる人も多い。

 一方で交通系ICは、準拠する「Felica規格」(ソニーが開発)が、タッチ決済などに広く使われる「NFC規格」に海外展開で遅れを取り、もはや日本独自の規格となりつつある。かつ、世界的な半導体不足からSuica新規販売の停止が続くなど、商品の供給にも苦しんでいる。要するに、今後もユーザーの増加が見込めるタッチ決済と比べると、交通系ICの成長性はいまひとつだ。

 こうした諸事情から熊本県の鉄道・バス5社は、乗客の24%が利用する交通系ICへの対応を、打ち切らざるを得なくなってしまったのである。

 しかし、タッチ決済を行うクレジットカードは、子供や高齢者が簡単に持てるものではない。熊本県では、機器更新後の支払い方法は、くまモンのICカード、タッチ決済に加えて、QRコード支払い(「my route」などアプリの活用)も想定しているという。