新型コロナウイルス禍でホテル業界は大打撃を受けた。だが、コロナ前よりも増収を達成したホテルも存在する。収益性をうまくコントロールしている「勝ち組」のホテルとは。ダイヤモンド編集部は、「月刊HOTERES(ホテレス)」(旧「週刊ホテルレストラン」)のデータを基に、販売可能な客室1室当たりの収益(RevPAR)の4カ年平均の増加率が高かったホテルのランキングを作成した。特集『狂乱バブル ホテル大戦争』の#10では、客室201室以上で中規模以上の36ホテルのRevPARランキングを公開する。トップ3には「御三家」の一角が入った。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
ホテルの「収益性」がコロナ前を上回る
36ホテルの「1室当たり収益力」ランキング
新型コロナウイルスの感染拡大前を上回る――。ホテル系の不動産投資信託(REIT)大手のジャパン・ホテル・リートが今年2月に開示した2023年通期の業績によると、変動賃料等導入25ホテルの23年の販売可能な客室1室当たりの収益(RevPAR)はコロナ前の19年を上回った。
19年に1万4109円だったRevPARは、コロナ禍で20~21年には4000円台にまで落ち込んだ。入国制限が撤廃された22年は8623円で、23年は19年比1.4%増の1万4305円となった。インバウンド(訪日外国人観光客)の急増などでホテルの収益力がコロナ前に戻ったといえる。
全体的には回復基調にあるとはいえ、収益力の回復は個別のホテルによって異なる。では、収益性をうまくコントロールした「勝ち組」のホテルとは。
ダイヤモンド編集部は、「月刊 HOTERES(ホテレス)」(旧「週刊ホテルレストラン」)が集計した19~22年度のデータを基に、販売可能な客室1室当たりの収益(RevPAR)の4カ年平均の増加率が高かったホテルのランキングを作成した。
RevPARは、年間客室売上高を総販売可能客室数で除すことで算出。客室売上高は、客室のみの売上高でサービス料などは含んでいない。
22年度はコロナ禍による入国制限が10月に撤廃され、インバウンドの影響が反映され始めた年でもある。コロナ禍で大打撃を受けた後の各ホテルの回復の動向もうかがえる。
次ページでは、客室201室以上で中規模以上の36ホテルの「1室当たりの収益力」のランキングを紹介する。RevPARに加え、各年の平均客室単価や客室稼働率も4年分を示し、コロナ前後の動向を明らかにする。御三家の系列ホテルや、独立系の名門ホテル、鉄道系のホテルなどが登場する。2位には御三家の一角が入った。