老後のためにマンション購入
アリかナシか?

Qお悩み
 この先も一人暮らしが続きそうです。頭金も貯まったので、老後のためにマンションを買いたいのですが、大丈夫でしょうか?

A解決

 今、マンションなどの不動産を買うのは、もっともよくない時期です。ずっとゼロ金利政策が続き、ものすごいカネ余りの世の中となっています。それもあって、株価だけでなく不動産価格もすごく上がっています。

 われわれ長期投資家からすると、にわか応援団が「儲けよう」「もっと儲けよう」で、ガツガツ買い群がってきている状況です。こんなときは、「にわか応援団にまかせよう」と言って、売っていくときです。

 さらには、マンションなど不動産に関しては、もっと本質的な問題点があります。それは、整理すると以下の3つの問題点です。

 1つ目は収入の心配です。昔と違って、今は終身雇用もなくなってきており、この先の収入がどうなるかわかりません。かつてのように年齢を重ねるほど、収入が増えるという保障はないのです。

 それなのに、若い時期に何千万円もローンを組んでしまうと、固定の負債を長いこと抱えることになり、それがリスクになります。その点、賃貸住宅なら、収入に合わせた家に住めます。仮に転職をして職場がかわっても、自由に引っ越しできます。

 また住宅を買うと固定資産税がかかるし、修繕は自分持ちです。賃貸なら全部、大家さんが支払ってくれるので費用はいりません。結局、賃貸住宅で暮らすのと、住宅を購入して住宅ローンを払っていくのと、かかる費用はほとんど同じです。

 2つ目は、空き家率の高さです。ご存じのように日本は人口減と少子高齢化が進み、家が余っています。総務省の統計によると、2018年の空き家は約840万戸で、空き家率は13.6%。この数値は年々上がっています。

 こうなると、家賃もあまり上がらないでしょう。つまり、これからは大家さんよりも、借りる人のほうが、どんどん有利になるのです。

 いずれは、マイホーム取得で住宅ローンや固定資産税を払い続けるよりも、ずっと賃貸住宅に住み、家賃を払っていくほうが割安となってくるでしょう。ひと昔前までの日本の人口が増え続けていた時代とは違って、これから人口がどんどん減っていくのです。

 3つ目は、資産運用の可能性をつぶしてしまうことです。家を買うと、最初にまとまった頭金を入れなければなりません。一度、頭金として支払ったお金は手元から離れて、なくなってしまいます。もう投資には回せません。

 一方、賃貸に住んでおいて、頭金相当のお金を長期投資に回すと、15年、20年でグッと増えてくれます。増えた資産で老後の住宅を、ゆっくり考えればよいと思います。定年近くまで賃貸住宅で暮らして、別に長期投資で資金をつくっておきます。そして、老後に暮らす家を新築でポンと購入する方法もあります。現役の間は通勤や通学に便利な場所が必要ですが、老後なら田舎でもかまわないので、地代も安くなります。

 65歳ぐらいで新築の家を手に入れたら、残りの人生ではリフォームの心配もありません。