新生活で気をつける点は、中編でも解説した通り「DV等支援措置」を毎年更新すること。DV等支援措置は、住民基本台帳の一部の写しの閲覧、住民票の写し等の交付、戸籍の附票の写しの交付などに制限をかけるものだが、「課税証明書」などの公布も制限して保護する。手続きの方法は自治体ごとに異なるので、確認しておきたい。

「引っ越しをしてからも気を抜けない日々は続きます。特に警察官に言われたのはSNS、インターネットの扱い方です。必ず匿名で投稿するようにと念を押されました。自撮り写真の投稿も撮影場所が特定されるので控えたほうが無難だと思います。『今ここにいます』『ここで食事をした』と、ついインスタ映えするカットもアップしたくなりますが、後日、親がその場所を訪ねてくることも考えられますのでSNSはやらないか、よほどの慎重さが求められます」

 注意点はまだある。郵便局の「転居届」に旧住所を書いてしまうと、親からの郵便物が新居に転送される恐れがある。郵便物は転送サービスを使わずに一つひとつの発送元に個別に住所変更を出すことをすすめている。

 電気・ガス・水道、インターネット・携帯電話などインフラ関係以外にも、銀行・証券口座などの金融関係、各種クレジットカードの請求先、オンラインショップの届け先と、人によってさまざまな住所変更が必要になるが、後回しにしないことが大切という。

 年賀状も友人や知人など親と共通の人間関係から居所が伝わってしまう可能性があるので、Yさんも年賀状は出していないという。

 さらに自家用車のある人は、登録情報や検査ファイルの悪用を防ぐために、こちらも閲覧制限をかけておくと安心だ。車の種類によって窓口が異なり、軽自動車は軽自動車検査協会、それ以外の普通車や二輪車は、運輸支局、自動車検査登録事務所などの管轄に問い合わせておきたい。