卑劣DV→逃げる子の転居先を特定!“ストーキング毒親”への住所バレを招いた「戸籍制度の落とし穴」とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

父親からの虐待に苦しんだ『毒親絶縁の手引き DV・虐待・ストーカーから逃れて生きるための制度と法律』(紅龍堂書店)の著者は、親を捨てることを決意した。前回の壮絶な毒親被害の告白に続いて、今回は公的制度を使い倒して、毒親と縁を切るまでの経緯を聞いた。(取材・文/村田くみ)

何度転居しても
毒親に住所がバレた

 父親はYさんが引っ越す度に住所をつきとめ、暴言を書いた紙をマンションの見えるところに貼ったり、ゴミを送り付けたりするといった嫌がらせをエスカレートさせていった。

 どこで転居先の情報が漏れたのか。不動産会社や宅配業者がうっかり父親の誘導尋問に答えてしまったというヒューマンエラーも多かった。

「あるとき、父が宅配業者に『うちの子が行方不明なんだよね』と言ったら、担当さんが『お子さんは◯◯に住んでいますよ』と答えてしまい、居所がバレてしまったことがありました。今は個人情報の取り扱いが厳しくなっているので、そのような出来事はないと思いますが、その一件からは、同じ自治体で新居を探すのをやめました」(Yさん)

 親から離れると決意してからYさんが実行に移したのは、「DV等支援措置」を申請して、父親の知らない土地に引っ越しをすること。

「DV等支援措置」とは、被害者が住まいの市区町村に申し出ると、加害者は住民基本台帳の一部の写しの閲覧や、住民票の写し等の交付、戸籍の附票の写し等の交付などの一切ができなくなる。

 これが配偶者との間だけでなく、家族間でも適用されることを知らない人が意外と多い。