遺族厚生年金の改正案で
多くの人が誤解している3つのポイント

 今回話題の「遺族厚生年金」は、厚生年金に加入している会社員・公務員などが亡くなった際に、配偶者らに支給される年金のこと。現行制度では、18歳以下の子ども(正しくは18歳になった年度末までの子のこと)がいない人の場合、60歳未満で遺族厚生年金を受け取る際の要件に男女差がある。

【現行制度で遺族厚生年金を受け取れる人】
(1)夫を亡くした30歳以上の妻は、子どもがいても、いなくても一生涯受け取れる
(2)夫を亡くした妻のうち、子どものいない30歳未満の妻は5年間だけ受け取れる
(3)妻を亡くした54歳以下の夫は、受給権が発生しないため1円も受け取れない

「男は一家の大黒柱として、妻が亡くなろうとも遺族年金には頼らず働く」という時代に作られた法律のままなので、働く女性が増えた今の時代に合っていないのは確かだ。専門家の間では、(3)の夫が受け取れないのはおかしい、男女差は是正されるべきと言われ続けてきた。

 男女差を是正するのとともに「子どものいない妻」の遺族厚生年金も時代に合ったものに変えるというのが今回の改正案だ。SNSの投稿を見ていると、どうやら多くの人は次のような点を誤解している。