一言で表すと「高性能タイプの中大型BEVを
小さいサイズにコンデンスしたようなクルマ」

 1800km長距離ロードテストの舞台は北東北。東京を起点に東北道、東北中央道で山形に向かい、月山界隈をドライブ。その後奥羽山脈を越えて岩手の花巻で新渡戸記念館、宮沢賢治記念館を巡り、柳田國男の遠野物語で名が知られた遠野を経由して釜石へ。そこからは震災復興道路のひとつである三陸道、国道6号、常磐道で東京へ帰着――という2泊3日のルートであった。

 道路は110~120km/h区間を含む東北道や常磐道などの高速道路、三陸道や東北中央道をはじめとする整備状況の良い地方道、出羽山地を横断する国道112号月山道路ほか路面の荒れた山岳路など、バリエーションに富んでいた。これだけの距離を無給電で走りきることは当然できないので、途中さまざまな場所での充電も必須だ。

 そんな旅を通じて得られたEX30の印象を一言で表すと、「高性能タイプの中大型BEVをそのまま小さいサイズにコンデンスしたようなクルマ」である。

 全長4.3mというショートボディゆえ、居住空間や荷室のゆとりは中大型BEVに遠く及ばない。が、加速性能、走行安定性、乗り心地や静粛性、そして1充電あたりの航続距離や遠出のさいの充電インターバルなど、クルマの能力面については中大型BEVでも生半可な出来のモデルは食われるというくらいの完成度だ。

 駆動用電気モーターの出力が200kWもあるので加速力に不足はない。高速道路での合流や追い越し、登り急勾配で登坂車線を走る大型車の追い抜きなど、何でもアクセルペダルひと踏みで瞬時に終わる。乗り心地も良好で、整備状態の良い高速道路ではそれこそスキーで滑走するようなフィールで走り、コンディションの悪い道でも快適性の低下は最小限だった。静粛性も高い。

先に述べたようにEX30は中国系プラットフォーム車の第1号。その初物がユーザーにショボいと思わせるようなクルマには絶対にしないというボルボの執念が伝わってくるかのようだった。

山形の東北中央道を走行中山形の東北中央道を走行中。晴れの日のドライブは視界の良さ、車内の明るさと相まって気分が上がった Photo by K.I.