「クルマの存在感を消し去るようなチューニング」
ボルボの狙いと、2泊3日ドライブ旅行の感想は?

 こう書くと、移動は快適だがドライブのつまらないクルマ、と思われるかもしれない。が、それは違う。もし、スポーツ性を前面に押し出したキャラクターのクルマだったら、確かにドラマのなさが物足りなく感じられたことだろう。

 しかし、旅をするためのギアとして見た場合、クルマの存在感が希薄であることはむしろプラスに作用する。楽しみの主役はドライビングではなく、旅先で出会う風景、風物なのだ。その多くは再び旅をしても季節、天候、時間帯が異なり、その場限りで二度と見ることはない一期一会。刺激性の高いクルマの場合だとドライビングが楽しい半面、クルマに気が行って、そういうものを見逃しがちになる。筆者は自動車の長距離ロードテストをよく行うが、EX30の“景色の見え方”は、出色と言ってよかった。

 さて、速さ、駆動力制御の精密さ、低振動&低騒音など多くの点でエンジン車に大きなアドバンテージを持つBEVだが、航続性能とドライブ途中でのエネルギー補給に関しては、依然としてエンジン車に遠く及ばない。EX30もしかり、だ。

山形・天童付近にて薄明を背景に記念撮影山形・天童付近にて薄明を背景に記念撮影 Photo by K.I.
岩手・花巻の宮沢賢治記念館にて岩手・花巻の宮沢賢治記念館にて Photo by K.I.

後編では、BEVで最大の問題となる充電と航続距離について詳細リポートします。また、インテリアの評価やコネクテッドカーの洗練性も徹底レビュー。最後に、コスト/タイムパフォーマンスの観点で総評します。

>>後編『意外と売れてるボルボEX30、「5年後に乗る価値があるのか」超マニアックに辛口レビュー』に続きます

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