「言葉の暴力はいつまでも心に残るのです。例えば、親に体を叩かれた後にできた表面的な傷は治ったとしても、叩かれたときの親の様子、声のトーン、鬼のような形相といったものが記憶のなかに刻み込まれていつまでも残像が消えないのです」

「このようなストレスの積み重ねがあるので、離れて暮らしていても親から連絡が入ると、体に異変が起こってくるPTSD(心的外傷後ストレス障害)のような症状が出てくるのです。毒親と関わること自体が強烈なストレスになるので、少しずつ親から離れたいという感情が芽生えてくるのです」

 法的に絶縁できなかったとしても、法律上の紛争の解決を本業としている弁護士が、子どもの代理人として毒親の間に入ることで、毒親が子どもに対して直接連絡をしてくることを阻止できるという。

 毒親が弁護士を無視して、子どもに直接連絡を取ろうとしてきた場合でも、子どもは「弁護士に依頼しているから、用があるなら弁護士を通してほしい」と、シャットアウトできる。

「直接、親とやりとりをする必要がほぼなくなりますので、精神的な負担は大幅に軽減されます。間に入った弁護士は、当事者と違って毒親に対して人間関係を持っていないので、毒親から不当な要求を拒否することに何の抵抗もありません。毒親からの要求をひたすら拒否し続けると、親のほうは打つ手がなくなり、子どもへの要求をあきらめめざるを得なくなります」

「それでもあきらめずに騒ぎ立てる親に対しては、裁判のように勝ち負けを決めるのではなく,話合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図る『民事調停』の申し立てをします」

「言われのない請求を長期にわたって受けているときなどに、債務が存在しないことを裁判所によって確認してもらう『債務不存在確認訴訟』を起こすといった手段もありますので、毒親との交渉の場を裁判所に移せます。こうして毒親の子どもへの要求や言い分が法的に通らないように示していくのです」

 B男さんは弁護士に相談したことで、親と直接接触する機会がなくなり、後に安心した生活を送ることができたそうだ。