弁護士に相談するときにも工夫が必要で、「親と縁を切りたい」とストレートな言い方をしてしまうと、「うちの事務所ではできることはありません」と、門前払いを食らってしまう恐れがある。

「毒親と縁を切る」ことを目的に相談するのではなく、「毒親から困らされている状況から解放されたい」と、親からの困りごとを相談すると、弁護士は代理人として、さまざまな解決策を提案してくれるという。

「この方法は、無理難題を要求してくる反社会的な勢力やクレーマー、ストーカー化した元交際相手や配偶者への対応を、毒親対策に転用したものです。現状、『毒親への対応』を主に取り扱う弁護士は少ないかもしれませんが、クレーマーやストーカーへの対応している弁護士は多い。これらの業務を扱っている弁護士を探して、親から困らされている状況を伝えることが大切です」

 たとえ最初に相談した弁護士から「できることはありません」と言われて、望ましい相談結果が得られなかったとしてもめげずに、「セカンドオピニオン」のように別の弁護士に相談してもいいという。

 費用が気になるときは無料相談などを活用して、費用面も含めて疑問点を弁護士に質問すると信頼関係が築ける。自分ひとりで親と対峙するのは精神的にもしんどいが、専門家が盾になってくれるので安心できる。時間はかかるかもしれないが、親の呪縛から解放されるためには一つずつクリアしていくしかない。

柴田収さん 弁護士。岡山大学大学院法務研究科修了。2012年にテミス法律事務所を設立し、離婚問題、特にDV・モラルハラスメント(モラハラ)事案に積極的に取り扱う。23年10月発売『毒親絶縁の手引き DV・虐待・ストーカーから逃れて生きるための制度と法律』(紅龍堂書店)の監修を担当。ホームページ https://www.themis-okayama.jp/
【毒親の特徴】毒親とモラハラ配偶者の「恐るべき共通点」あなたは大丈夫?柴田収弁護士 撮影/筆者