仕事も結婚も奪われた娘が
毒母の愛を求めたワケ

 通常であれば、そのような母の態度を知ったときには、子どもは家を飛び出してもいい、親を捨てても当然だと思うだろうが、C子さんは実家から出られない事情があった。仕事が見つからないので一人暮らしをスタートするためのお金がなかったのだ。

「介護がスタートした当時、お付き合いしていた人がいたそうで、その彼があるとき実家に遊びにきてくれたそうです。お母さんは何を言い出すのかと思ったら、まだ結婚も決まっていない彼に向かって『C子と結婚したらうちで同居してね』と言ってしまった。その後、彼とは別れてしまったそうです。30代後半〜40代になると結婚にあせると思いますが、縁談もそう来なかったと聞きました」

「C子さんの話を聞きながら、お母さんは娘の幸せを願っていないなと思いました。自分の幸せだけを追求していて、自分が少しでも楽になりたい、そのために娘を犠牲にしたのです。子どもたちに迷惑をかけたくないと思っているのであれば、ケアマネジャーに相談して家族に負担がかからない介護のプランを考えると思うのですが、このお母さんは自分ファーストなので、娘の将来のことをまったく考えていないのが伝わってきました」 

 C子さん自身「母は都合よく私を操っている」と、理解していたが、その反面幼い頃からできる姉と比較されてきたので、「母の愛を受けたいと思ってしまったのではないか」と太田さんは分析する。