戦略コンサルティングからシステム開発まで――。伊藤忠商事は、川上から川下までを一気通貫で手掛ける「デジタルバリューチェーン(DVC)」構想に注力する。DX(デジタルトランスフォーメーション)で稼ぐ力を高められるとの期待もあるが、ライバルのアクセンチュアに対してどう優位性を発揮するかや、認知度をどう高めるかといった課題がある。特集『伊藤忠 三菱、三井超えの試練』の#5では、伊藤忠のデジタル戦略の課題に迫る。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)
DX戦略の柱・デジタルバリューチェーン
経営陣からも熱い視線
伊藤忠商事のデジタルバリューチェーン(DVC)構想は、デジタルにおける川上(戦略コンサルティング)から川下(システム開発や運用など)までを支援するサービスだ。伊藤忠の子会社やつながりの強い企業の群が一気通貫で手掛ける、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の肝ともいえるものだ。
鉢村剛CFO(最高財務責任者)はDXの要である情報・金融カンパニーを「最も成長性の高い分野」と評し、石井敬太社長も「デジタルなくして成長なし」と明言する。
一方で同カンパニーは、伊藤忠の純利益に占める割合が8%超にとどまる。今後、いかにして収益力を高めていくのか。
次ページでは、DXソリューションというレッドオーシャンで、伊藤忠が勝ち抜くための戦略を明らかにする。また、DVC構想の課題と、それを克服するために同社が用意している秘策に迫る。