怪力EVは暴力的なまでに「速い」!

「速い。暴力的に速い」。強くアクセルを踏み込んだ際の率直な感想である。以前試乗したノーマルのIONIQ 5の最高出力が305馬力。それでも十分に速いクルマだったが、今回試乗したIONIQ5 Nはその倍以上もある。

ヒョンデ「IONIQ5 N」 Photo by Ferdinandヒョンデ「IONIQ5 N」 Photo by Ferdinand Yamaguchi

 最高速度は260km/h。0-100km/h加速は3.4秒。サーキットに持ち込まなければその実力は試しようもないのだが、片鱗だけは公道でも見ることができる。龍の鱗かゴジラのそれか。片鱗だけでも規格外の桁外れだ。アクセルを踏みこむと、脳味噌がグラグラ揺さぶられるほどに強烈なのである。

 試乗初日は、キャディバッグを積んで中央道に乗り、鳴沢カントリークラブに出かけた。

 早朝の甲州街道。流れに乗って気持ちよく走る。大容量のバッテリーを積むIONIQ 5 Nの車両重量は2210kgとなかなかの重量級だ。重くなりがちなEVの足回りは、それに耐えるために硬くするのが常道である。

 しかしIONIQ 5 Nのサスペンションは意外なほどにソフトである。道路の段差も気にならない。車高が無駄に低くないのも良い。歩道を乗り越えるコンビニの入口も気にならない。ノーマルのIONIQ 5同様に、下を擦らないよう身構えることもなく、気軽にスッと入っていける。世界一コンビニに入りやすいオーバー600馬力ではあるまいか。