普通に走っている分には、驚くほど普通でスムーズだが……

 中央道調布インター手前のファミマで眠気覚ましのアイスコーヒーを買い、イッキに飲み干して甲州街道に戻る。すぐに高速の入口だ。きつい左カーブ。姿勢はピタリと安定している。料金所を過ぎ、本線に合流し、流れに沿って走る。普通に流している分には、拍子抜けするほどにフツーである。EVらしい無音に無振動。ボディと内装の建て付けがいいので、ガタピシ感も一切ない。

 これがホントに最高出力609馬力? スイッチを押せば10秒間だけ650馬力も出るクルマなの?ホンマかいなと疑ってしまうくらいに普通なのである。

IONIQ5 Nはモードによって違うクルマになる。普通に走っているときには驚くほど普通、ノーマルIONIQ5同様、スムーズに乗れるクルマだIONIQ5 Nはモードによって違うクルマになる。普通に走っているときには驚くほど普通、ノーマルIONIQ5同様、スムーズに乗れるクルマだ Photo by F.Y.

 しかし一度アクセルを強く踏み込めば、IONIQ 5 Nはガラリと表情を変える。

 冒頭に書いた、暴力的な加速。0-100km/h 3.4秒という数字がそもそもウソではないか、当局の目をくらます過少申告ではあるまいか?といぶかしく思えるほどに強烈なのである。これまで一度も経験したことのない、リニアな急加速。スタート直後からガツンと来る、モーター“だけ”が持つ怒涛の怪力。ガソリンエンジンのスーパーカーでは決して味わうことのできない、EVの真骨頂である。

 自制心が求められる。調子に乗って運転していると、免許証が何枚あっても足りないほどだ。