「憩いの場」のはずが
大渋滞を招くパーキングエリアとは

 神奈川県の川崎市と千葉県の木更津市をつないでいる東京湾アクアライン(全長約15km)には、「海ほたる」というパーキングエリアが設けられています。海ほたるは東京湾の上に浮かぶような構造(人工島)になっており、海を見ながら休憩することが可能です。海上にあるパーキングエリアは珍しく、ここを目的地として訪れるドライバーも多く存在します。

「憩いの場」のはずが大渋滞の原因に!識者が「目的をはき違えている」と斬るパーキングエリアとは?海ほたると東京湾アクアライン Photo:PIXTA

 このため、特に週末は海ほたるを先頭とする渋滞が発生しやすく、SNSには「海ほたる付近が混んでいる」と嘆く投稿が多く見られます。海ほたるの運営企業は「東京湾横断道路株式会社」なのですが、「高速道路会社が渋滞の要因を作るのはいかがなものか」と筆者は考えます。

 海ほたるは単なる休憩所ではなく、観光地として作られたのは明らかです。トイレなどの施設が必要ならば、東京湾アクアラインの「ど真ん中」ではなく、この道路が結んでいる川崎側や木更津側に設置すればいいでしょう。何しろ、たった15kmの距離なのです。

 もちろん海ほたるだけが渋滞を招いているわけではなく、坂道や合流など他の要因もあるでしょう。ただし、海ほたるをはじめとしたパーキングエリアやサービスエリアを観光地としてお客を呼びたいのであれば、渋滞が発生しない十分なアクセス路を建設するべきではないでしょうか。

 海ほたるは入場料・駐車料金ともに無料ですが、この施設を使って観光ビジネスを行うのであれば、お客からお金をもらって、道路拡充の原資にすればいいでしょう。「高速道路は何のためにあるのか」。海ほたるは、その目的をはき違えているように感じます。