私たちの全身の細胞には、AGEをキャッチするRAGEという「AGEの受容体」があるのですが、AGEがRAGEに結合すると、その部位には炎症が起き、活性酸素の発生も盛んになります。
活性酸素が発生すれば、細胞などが傷つき、機能が阻害される「酸化」が進行します。
実は、糖化と酸化は同時に起きる反応だということが、最近の研究でわかってきました。そのため、別々に扱うのではなく「酸化糖化反応(glycoxidation)」と呼ぶべきだという提唱がなされています。
牧田善二 著
こうした酸化糖化反応は、体を内側から疲れさせ、あちこちに慢性の炎症を持続させます。そうした変化は体のどこでも起きますが、目で見てわかりやすいのは、皮膚の疲れの象徴であるシワやシミです。
年齢を重ねると皮膚にハリがなくなってシワやシミが増えるのは、老化促進物質でもあるAGEがたくさんつくられているからです。
皮膚に限らず、筋肉も血管も内臓も骨も……私たちの体は、ほぼタンパク質でできています。
つまり、ブドウ糖が余分にあれば、あちこちでAGEがつくられる環境にあり、酸化糖化反応が起き、慢性炎症がどこでも生じるわけです。
慢性炎症が持続することで
恐ろしい生活習慣病を引き起こす
慢性炎症は急性の炎症と違い、痛みや腫れなどの自覚症状がほとんどありません。
しかし、慢性炎症が持続することが、がん、心筋梗塞、脳卒中、アルツハイマー病、糖尿病、腎臓病、動脈硬化、骨こつ粗鬆症などの恐ろしい生活習慣病を引き起こすことが明らかになっています。
ですから、糖質過多の食生活は、疲労を溜めるだけでなく、老化まっしぐらであり、あらゆる命に関わる病気への近道となるのです(図5参照)。
なお、AGEは糖質の多いものを食べることで体内でつくられるだけでなく、AGEを含んだ食品を食べることで外からも取り込んでしまいます。
とくに、高温で食材を調理することでAGEが増えることがわかっています。