糖質は1グラム4キロカロリーなのに対し、脂質は同じ1グラムで9キロカロリーのエネルギーを持っています。少しでも軽い状態で多くのエネルギーを有しているほうが有利ですから、ブドウ糖が積極的に中性脂肪に変えられるのです。

 これもまた、人類が生き抜くための優れたプログラムですが、糖質過多の現代社会においては、それによって多くの人が太ってしまうわけです。

 つまり、肥満のメカニズムは、糖質を摂りすぎて余ったブドウ糖が中性脂肪に変えられ、脂肪細胞に取り込まれるというものです。

 口から食べたステーキの脂身が、そのまま脂肪細胞に取り込まれるわけではありません。あくまで、糖質がみなさんを太らせるのです。

 そもそも脂質は、多くの人が想像しているような悪者ではありません。それどころか、脂質は細胞膜の原料となるなど重要な働きをしており、むしろ摂取量が足りていないくらいです。

 一般的な日本人の1日の3大栄養素摂取量は、タンパク質約70グラム、脂質約60グラムであるのに対し、炭水化物(糖質)は4倍ほどの約250グラムにもなります。

 このように、圧倒的に糖質が多いのが日本人の食生活の特徴です。

 しかも、これは平均的な値であって、米飯やパン、麺類が好きな人はもっと食べているでしょう。

 その結果、疲れやすくて太りやすい体になってしまうのです。

糖質過多は老化や病気にまっしぐら
老化を促進するAGEの正体とは

 糖質過多の疲れる食生活は、老化を促進します。

 米飯やパン、麺類など炭水化物の多糖類も、砂糖のような二糖類も、消化の過程で全部ブドウ糖に分解されます。

 ブドウ糖は、果物に多い果糖と並んで単糖類と呼ばれます。

 この単糖類は、体の中のタンパク質とくっついて変性することがわかっています。その作用を「糖化」といいます。

 そして、糖化によってAGE(編集部注/糖が過剰にこびりついて本来の機能を失ったたんぱく質)という極めて悪性の老化促進物質がつくられるのです。