今年の春、ロシア陸軍参謀長のアレクサンドル・ラピン大将は、脆弱(ぜいじゃく)な国境地域であるクルスク州の防衛を任務とする省庁間機関を解散させた。当局者によると、ラピン氏は国境を守る力と資源は軍だけにあると語った。これにより、ロシアの脆弱な国境防衛にまた穴が開いた。8月初旬、ウクライナ軍が国境を越えてクルスク州に電光石火の攻勢をかけた時、国境の守りは崩壊した。当時、ロシア軍が混乱に陥る中でウクライナ軍が進撃し、今ではロシア領の400平方マイル余りを占拠しているという。確かに、第2次世界大戦以来初となる外国軍によるロシア領侵攻を許した責任は、ラピン氏だけにあるわけではない。深刻な兵員不足に直面していたという面もある。だが同氏の失態は、上層部が戦場の現状にいかに疎いかを物語っている。