大和ハウス決算の謎…過去最高の1Q業績、住宅・ホテル事業など好調も「通期は減益予想」のワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は大和ハウス工業や積水ハウスなどの「住宅メーカー」業界3社について解説する。(ダイヤモンド・ライフ編集部 濵口翔太郎)

業績絶好調の大和ハウスが
「通期で減益予想」の謎

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の住宅メーカー業界3社。対象期間は2024年2~6月の直近四半期(積水ハウスは24年2~4月期、大和ハウス工業、積水化学工業は24年4~6月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・大和ハウス工業
 増収率:6.0%(四半期の売上高1兆2872億円)
・積水ハウス
 増収率:9.7%(四半期の売上高7771億円)
・積水化学工業
 増収率:4.7%(四半期の売上高2988億円)

 住宅メーカー3社は、いずれも前年同期比で増収となった。また、この3社は利益面も大幅に伸長した。

 具体的には、大和ハウス工業の24年4~6月期における営業利益は、前年同期比30.9%増の1218億円。積水ハウスの24年2~4月期における営業利益は、同28.7%増の717億円。積水化学工業の24年4~6月期における営業利益は、同32.1%増の202億円となっていた。

 以上の結果によって、大和ハウス工業は第1四半期として売上高・営業利益ともに過去最高を達成。積水ハウスも売上高が過去最高を更新し、積水化学工業も営業利益・経常利益が過去最高を記録した。

 好調を踏まえ、大和ハウス工業と積水ハウスは通期業績予想を上方修正した。積水化学工業は通期予想こそ据え置いたものの、上半期(24年4~9月期)の業績予想を引き上げた。

 ただし、このうち大和ハウス工業は上方修正後の利益予想が前期実績を割り込む見通しだ。足元で過去最高業績を達成し、今後も好調が見込まれるにもかかわらず、なぜこうした予想を掲げているのか。

 次ページでは大和ハウス工業を中心に、住宅メーカー3社の四半期決算について解説する。