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 小選挙区制の下での派閥の存在意義は何かと言えば、1つは、衆議院選挙比例代表名簿の順位決め。もう1つは、閣僚など政務三役や党と国会の役職の推薦でしょう。

 私にとっての派閥とは、国家観や政策の近い人が集まり、政策を練って、派閥の中から総裁候補を出し、応援することが理想でした。しかし現実には、特に衆議院選挙が近い時期になると、「選挙の顔」を選ぶための総裁選になりがちです。または、「勝ち馬」に乗らなければ人事で冷や飯を食うという意識も働きます。よって、必ずしもすべての派閥が独自候補を擁立するわけではありませんでした。

すべての派閥に嫌われた…高市早苗の政調会長時代「お前は何様だ!」ブチギレる重鎮に返した、直球すぎる言葉とは?高市早苗氏 Photo by Wataru Mukai

――高市さんは無派閥ですが、派閥と人事に関するエピソードがあれば教えてください。

 私は、すべての派閥から嫌われてしまいました。平成24年12月から26年まで政調会長を2期務め、令和3年10月から令和4年までも政調会長を1期務めています。政調会長就任後の初仕事は、政調会の部会、特別委員会、特命委員会、調査会など、政策構築機関の長の選任ですが、私は各派閥から出てきた「役職希望表」をすべて無視したのです。

 というのも、私は政調会長として、派閥の論理ではなく、無派閥の方も含めて適材適所の人事をすべきだと考えていました。そこで一人一人の国会議員の過去の議員立法歴や委員会所属歴や専門分野を調べ、三日三晩かけて誰にどの機関を担っていただくかを考え抜いて壮大な人事表を作ったんです。

 コツコツと専門分野を活かして政策構築に励んでおられる議員に光が当たる「全員野球の政調会」が理想でした。