成長投資枠が空いていますから、「もっと投資に入れておきたい」と、欲というか期待というか、そういう気持ちが出てきて、成長投資枠の使い方について調べました。ご夫婦で調べているうちに、夫は個別株への投資に興味が出てきました。円安の時期で、日経平均がどんどん上がっている時期でもあったので、気になる日本の大手企業の3銘柄ほどを購入したそうです。金額にして合計で200万円ほど。成長投資枠240万円の上限の大部分を埋めるように投資したのです。すると、時期が時期だっただけに株価は上がり、ネット証券の画面上の評価損益の金額も大きくプラスとなりました。「やはり投資をはじめてよかった」と、かなり浮かれた気持ちになったのだそうです。ですが、しばらくするとその気分は一変しました。
1日に何回も株の価格をチェック、個別株を全て売却
8月上旬の株価暴落です。投資を始めて1年もたたないJさんの投資商品の評価額は、どんどん下がります。見なければいいのに、一日に何度も評価額の動きを確認し、マイナス表示になるものも出てきて不安と焦りでいっぱいになってしまったそうです。少しでも損失を防ぎたいと思い、個別株のすべてを売却。その時点で70万円を超える損失を確定させてしまいました。損失を食い止めたと少々ホッとしたものの、翌日の株価は少し回復。翌日以降も、少しずつ戻っています。「もしかするとあの時売らなければ、損失はもっと少なかったかもしれない」と、今は後悔してモヤモヤした気持ちでいるそうです。
この損失を出した後、上に書いたような不安げな表情で、私のところへ相談にいらっしゃいました。もし、投資を始める前、もしくは投資を始めたばかりの段階で来ていたら、このようなことは未然に防げたのですが、致し方ありません。Jさんご夫婦は「自分たちの投資の仕方は間違っていたのか、投資で資産を作っている人もいるのに、自分たちには無理なのか」と、自信をなくしてしまっているようでした。