熱を正しくコントロールしないと、本気で走れるEVにならない

七:はい。そこまで落ちてしまうんです。そこまで連続で踏むというシチュエーションを想定して造っていないからです。バンバンバンバン!と連続でアクセル全開なんてことは、日常生活ではあり得ませんからね。でも高性能パフォーマンスカーとなると、それができなければいけません。必須条件です。スポーツ走行は急加速、急減速を延々と繰り返します。コーナーの出口でアクセルをドンと踏んで、さあ加速、というシーンで、「あれれれれ……」とタレてしまったらどうします?これはもう高性能パフォーマンスカーとは呼べませんよね。

F:しらけますよね。でもそうしたシーンが熱によって起こりうる。

七:そう。熱を正しくコントロールできないと、必ずそうなります。別に壊れてしまったわけではなく、保護回路が働くからです。でも私どものIONIQ 5 Nは極めて高いレベルで熱をコントロールできている。本気で走れるんです。本気で走り続けられるんです。

F:なるほど。

ニュルブルクリンクを2周目も本気で走れるEV

七:例えばニュルブルクリンクの北コース。あそこは1周が20kmありまして、多くのEVが1周は全開で行けるのですが、2周目に入ると大体はどこかでパワーセーブがかかってしまいます。でもこのIONIQ 5 Nは、2周目も本気で走れるんです。これは実証済みです。恐らく他のEVではできないことです。高度な温度管理の賜物(たまもの)です。

ヒョンデのハイパフォーマンスブランド「N」を冠する「IONIQ5 N」は、ノーマルな「IONIQ5」とはまったく違うクルマに仕上がっている。Nの名は、テクニカルセンターがあるニュルブルクリンクと、高性能開発部門がある南陽Namyangから来ているヒョンデの高性能パフォーマンスブランド「N」を冠する「IONIQ 5 N」は、ノーマルな「IONIQ 5」とはまったく違うクルマに仕上がっている。Nの名は、テクニカルセンターがあるニュルブルクリンクと、高性能開発部門がある南陽Namyangから来ている(広報写真)

F:具体的にはどうやって冷やしているのですか?

七:冷却系を普通のEVよりもうんと強化して、緻密にコントロールして熱を持たないように冷却しています。あとは風の流れのコントロール。これらを総合的にやっています。