F:なぜヒョンデはここまでブッ飛んだクルマを造ろうとしたのでしょう。ヒョンデは何を狙っているのでしょう。

七:多くの方に乗っていただける高性能パフォーマンスカーを造りたいという強い思い。その解として、EVがベストだろうという流れです。

七五三木氏と筆者七五三木氏(左)と筆者 Photo by A.T.

こんな安いスーパー……高性能パフォーマンスカーで利益は出る?

F:性能はすごいのに、コストは極めて低く抑えられています。利益はキチンと出るものなのでしょうか?

七:もちろん出ています。利益を出さないと、株主への説明ができませんので。

 基本的に、こういう高性能パフォーマンスカーを造るとなると、いわゆるニューマテリアルを多く使うのが当たり前です。アルミやカーボンはもちろん、マグネシウム+チタンといった、軽くて強いけれどもコストが高い素材をじゃんじゃん使うものなんです。だから軽量化ができるのですが、そうすると車体が非常に高い価格になってしまいます。本来のヒョンデの目的である、多くの方にスポーツ走行の楽しさを味わっていただく事ができなくなってしまいます。だからIONIQ 5 Nは、アルミを使っているのはボンネットだけで、あとは基本的に全て鉄板です。それなのに重量を抑えられている。電気自動車って、どうしても重くなってしまいます。重いのはスポーツ走行にとって大きなハンディキャップです。そこを構造によってIONIQ 5 Nはうまく克服していると思います。

F:高額素材をじゃんじゃん使わず、鉄板をうまく組み合わせてコストダウン、と。

七:コストダウンという言い方は正しくありません。正確にはオプティマイゼーション。つまり価格を一番最適化するための組み合わせです。この素材をこう使えば、このぐらいの価格帯でいけるよね、というところでクルマを造りました。

F:なるほど。素晴らしい。