孫は私のものじゃないから
面白くない

 その後、結婚してE子さんは実家を出たが、母はE子さんの家に遊びに来ては、何かと自分の意見を押し通そうとした。

「例えば、私の娘がまだ2歳、3歳の頃、自分で洋服を選んで着ていることがあり、それを見ていた母が、『自分で洋服を選ばせたらわがままな子どもに育つ』と言い出した。普通、おばあちゃんだったら孫ができることを褒めると思うのですが、絶対に褒めない。自分が行ってきた子育てが一番だと思っているから、私の子育てやり方も全否定してくるのです」

 しかも、E子さんの子どもの頃の話を持ち出して、「あなたは小さい頃、私はいろんな服をちゃんと着せてあげていたのに」と、自分の子育てのやり方と比較したうえで、自分が正しいとマウントを取ってきた。そこでE子さんは、親が子のためを思って何かをしてあげることは、子どもが自分でやる機会を奪っていることなのだと気がついた。

「だからこそ、自分の娘にはきちんと自分で洋服を選んでほしいと思ったのです。洋服だけでなく、この先、習い事や進路についても自分でやりたいと思うことを見つけて選んでほしいと思っています」

 孫ができても母は変わらなかった。そのうえ、「孫は私のものじゃ無いから面白くない、娘の方が面白かった」と言われたとき、「ああ、私は彼女のものとして扱われてきたんだ」とE子さんは実感した。母のような子育てはしたくない――。その気持ちは揺らぐことはなかった。