私たちの世代は、AOLのチャットやMSNメッセンジャーで友達づくりをしていたけれど、これはSNSのもたらすパワーがうっすらと発揮されるようになった時期だった。オンラインでなかよくなった見知らぬ人物と、実際に会うこともあった。信じられないと思うだろうか?

エキサイティングで
キラキラのFacebook黎明期

 私は、父親が歯科医だという男の子とチャットする機会があり、家がそう遠くないということも手伝って、その子と本当に友達になったことがある。

 ほかにも、地下鉄のディストリクト線で2時間かけて、私に会いに来た人もいた。〈カンゴール〉の白い帽子をかぶっている、ちょっと悲壮感が漂ってる男性で、私は自宅の玄関で5分ほど歓待してからその男性を送りだした。相手が安全な人物なのか確認する仕組みはなく、その必要性すら認識されてなかったんじゃないだろうか。

 2006年にフェイスブックが英国に上陸したころ、私は22歳。派遣社員としてメイフェアで受付の仕事をしていて、時給が12.5ポンドということ以外に、関心を持てることはなにもなく、ひまを持て余していた。

 でも、そこにフェイスブックがあった。まったく新しいこのキラキラしたプラットフォームでは、アガサにメッセージを送れるし、それまで出会った人たち全員が投稿した写真ごとに、タグ付けすることだってできる(その10年後に、このときのタグを削除するために数週間かかった)。

 すべてがとってもエキサイティングで、無邪気そのもの。妹がむかし、ロンドン動物園で初めて大きなニシキヘビを見て、突いてみたときみたいに。あらゆる危険はスルーされ、文字で書かれた警告サインは無視されていた。