特に算数においてよくあることですが、あるパターンでは授業で習った解き方がベストだとしても、少し数値を替えたり、パターンを変えたりすると、別の解き方がベストな解法になることがあります。しかし、予習型のパターン学習では、試行錯誤しながら考えた経験がほとんど積めません。後期の初見の問題が数多く出題される時期になると、複雑な問題を自力で解く力がないので一気にガクッと成績が落ちてしまいやすい。

 最善の解き方しか知らないことが問題なのです。その解き方では上手くいかないという緊急事態に直面した際に、他に何の解き方も持ち合わせていない状態になってしまう。自分の頭で考えることをしてこなかった子は入試本番ではかなりの苦戦を強いられることになりかねません。
 
 当たり前ですが、入試会場には親も先生も隣にいません。子どもひとりで立ち向かわなければならないのです。

 10分・20分・30分考えても答えにたどり着けない様子を見ると、親には無駄なことをしているように見えるかもしれませんが、その体験を乗り越えている子でないと、いざというときに問題を解くことができません。常日頃から、その場その場できちんと自分の頭を使うということが本当に大切だと考えています。

――SAPIXは前の週までに学習した知識を元に、その場で考えさせる授業展開。つまり復習中心学習ですから、そもそも予習を勧めていない塾ですものね。