楽天 延命#4写真:イメージマート

楽天グループが、楽天銀行、楽天証券ホールディングス(HD)、楽天カードなど金融事業子会社を一つのグループに集約する。2025年1月の実施に向けて、上場企業である楽天銀行を中心に、他の金融子会社を統合するスキームを想定しているが、そうすることで得られる最大の効果は何か。特集『楽天 延命』の#4では、楽天経済圏の中核に位置する金融事業を再編する「本当の狙い」に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令ニ)

銀行、証券、カードの再編で狙う
楽天グループ企業価値の最大化

「楽天グループ全体をサム・オブ・ザ・パーツ(SOTP)でバリュエーションすれば、恐らく今よりはずいぶんと変わってくる可能性はある」

 楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は8月9日の決算説明会で、楽天銀行を中心に金融子会社を再編する狙いを改めて語った。

 SOTPとは、複合企業の各セグメントの価値を足し合わせる株価分析の手法のこと。三木谷氏はSOTPで楽天傘下の金融事業を評価すれば、グループ全体の企業価値がつり上がることを強調したのだ。

 三木谷氏には、楽天銀行、楽天証券、楽天カード、楽天損保、楽天生命保険など、傘下の金融事業会社を再編すれば、より大きな時価総額が見込めるという信念がある。

 再編・統合で企業価値を高めた金融事業会社の株式を売り出せば、楽天グループは、再び巨額の資金を調達することができる。それは、携帯電話事業の設備投資や巨額の有利子負債がのしかかる楽天にとって貴重な資金源だ。

 次ページでは、いまだ財務危機の続く楽天が着手した金融子会社再編図の全貌に迫る。再編の真の狙いとはどこにあるのか。