ソフトウエア販売員のイェルン・ファン・ディーセンさんは春から夏にかけての大半の期間、電力を使うことで報酬を得ていた。時には隣人たちも消費電力を増やすのに協力し、それで受け取る金額が増えた。ファン・ディーセンさんの置かれた状況は、奇妙だが新しい電力のダイナミズムを映し出す。これは間もなく世界の多くの地域で「標準」になるかもしれない。風力発電や太陽光発電が大幅に増えたことで、電力卸売価格は1年の多くの時間帯でゼロかそれ以下に低下し、人々の電力の使い方は様変わりしている。太陽が出ているか、風が吹いているかで決まるのだ。現在は大半の人々が、1日を通じて消費電力1キロワット時当たりの固定価格を支払っている。契約している電力会社がこの価格を設定するが、いったん決まった価格は1週間に一度、1カ月に一度、または1年に一度の頻度でしか更新されない。