給油区間別の実測燃費は
期待値を若干下回る結果に

 燃費は絶対的には十分に良好。ただし事前の期待値は若干下回った。給油区間別の満タン法による実測燃費を列記してみよう。

1.東京・葛飾~兵庫・夢前(ゆめさき)
 走行592.1km 燃費20.6km/l
2.夢前~熊本・鹿北
 走行666.8km 燃費21.1km/l
3.鹿北~鹿児島市
 走行211.5km 燃費20.7km/l
4.南九州エリア
 走行626.9km 燃費16.6km/l
5.鹿児島~愛知・名古屋
 走行1142.0km 燃費20.4km/l
6.名古屋~東京・世田谷
 走行340.4km 燃費17.3km/l

 第1、第2、第5レグはいずれも高速と一般道の混合ルート。第4レグは渋滞頻発&シラス台地のアップダウン連続という悪条件の鹿児島市の走行が6割、高速2割、郊外道2割の比率。第6レグは名古屋から東名&新東名を常に最も速い流れに乗って走ったスコアである。

 絶対的な数値としてはCセグメントSUVのAWDモデルとしては十分以上に受け入れられる水準にあったが、過去のe;HEVモデルに対して新エンジンを搭載するぶん優位に立てるという期待は空振りに終わった。

 筆者が過去に長距離ロードテストを行ったホンダの2リットル級e:HEVで最も燃費スコアが良好だったのは電気モーターの最高出力163馬力の2013年型アコードハイブリッドの26.2km/l。燃料タンク容量が60リットルと大きかったこともあって、鹿児島から東京まで無給油で走破した。

 アコード相手の場合、ZR-VはAWDであることに加えて前面投影面積や空気抵抗係数が不利というSUVならではの事情もあるので後れを取るのも致し方ない。が、今回と同様のコースを走ったミニバン、現行「ステップワゴンAIR e:HEV」にわずかながら負けたのはちょっと言い訳が立たない。ステップワゴンのe:HEVはZR-Vより古いタイプのエンジンとの組み合わせで、車重は200kg以上大きく、空気抵抗は当然ステップワゴンのほうが大きい。にもかかわらずZR-Vが敗北したのは、新鋭の直噴エンジンの効率を最大限引き出す制御のツボを完全につかみ切れておらず、古いながら熟成が進んだ旧システムを上回るには至っていないものと推察された。今後のさらなる改良に期待したいところだ。

 そんな身内同士の競合はともかく、経済性はこれでも十分であろう。飛ばしすぎなければロングランでリッター20kmラインを安定してクリアできるというのは、かりにレギュラーガソリン価格がリッター200円に跳ね上がっても1kmあたり10円の燃料代で走れることを意味する。旅好きなユーザーにとっては有り難いところだ。